何らかの状況のとき、そうなった理由として考えられるのは1つじゃないことが多いですよね?
人のせい?環境のせい?運?
何かの原因を考えるとき、人間にはやってしまいがちな間違いがあります。
その1つが、「基本的帰属の誤り」です。
著者のケヴィン・ダットンはロンドン生まれの心理学者で、「社会的影響」研究の第一人者です。
本の中では社会的な影響力を利用して相手に思わず「Yes」と言わせてしまうテクニックが数多く紹介されています。
詐欺師も使えるようなテクニックですが、お子さんや部下を望ましい方向に(エゴではなく)導いてあげたいときなどにも有用なヒントが豊富に含まれています☆
人は、環境よりも人のせいにしやすい
『帰属』を辞書で引くと、
「特定の組織体などに所属し従うこと」(デジタル大辞泉)
と出ていますが、ここでは「何らかの状況の時のそうなった理由」、つまり「それって何のせい?」というような意味だと理解してください。
何らかの状況になった時の帰属先は、大きく分けると2つです。
1つめが環境などの外的な要因。
もう1つが個人の気質などの内的な要因です。
平たく言うと、周りのせい(=外的要因)なのか、自分のせい(=内的要因)なのかということです。
そしてこの理由の帰属には、誰もがしてしまう傾向があります。
誰もがどうしてもしてしまうので、「基本的」帰属の誤りです。
それは、『ある人の行動を評価するとき、外的な要因よりも、内的な要因が優先される』ということです。
つまり『人の行動を評価するときは、周りのせいではなく、その人のせいにしやすい』ということです。
例えば、運動部が試合に負けた時には、「雨が続いて練習ができなかったから」とはなりにくく、「選手の気合が足りない」とか「〇〇選手のミスで」といったことを原因と捉えやすいということです。
この基本的帰属の誤りがあると、環境調整による改善という視点を持ちにくくなるため、注意が必要です。
上の運動部の例だと、基本的帰属の誤りによって「選手個人個人に問題があった」となってしまうと、「梅雨の季節は屋内練習場をしっかりと予約して練習環境を整える」といった改善策を見つけにくくなってしまいます。
基本的帰属の誤りに捉われず、客観的に分析することを心掛けることが大切です。
客観的に状況をとらえるためにできること
どうしてもなってしまう基本的帰属の誤りに捉われないようにするためにはどうしたらよいでしょうか?
そのためにできることは、「そのときの状況にフォーカスする」ということです。
「なぜそうなった?」という問いから考え出すと、自由度が高いがゆえに基本的帰属の誤りが入り込んできます。
しかし、「そのときどんな状況だった?」という問いになると、距離をとって俯瞰したような見方をしやすくなります。
先ほどの運動部の例だと、「なぜ?」と問われると「気持ちが…」「あの選手が…」とどうとでも答えることができてしまいます。
一方、「どんな状況だった?」と問われると「選手のコンディションが悪くて…」「雨が続いて十分練習ができなくて」など、改善にもつながる客観的な見方がしやすくなります。
自覚しておくだけでも違います
いかがでしたか?
基本的帰属の誤りは、どうしてもそうなってしまう人間に備わった基本的な傾向です。
ということは、止めるのは無理です。
しかし、知っていれば、気づくこともできるし、反省もできます。
物事を分析したり判断したりするときには、「基本的帰属の誤りに捉われていないか?」を意識して冷静に判断していきましょう☆
この記事は、『瞬間説得~その気にさせる究極の方法~』(ケヴィン・ダットン、2011)から学んだことの記録です。