お子さんに否定的な声かけをした方がいいと思っている方はいませんよね。
でも、「だからお前はダメなんだ」「どうせお前は‥」といった声かけを思わずしてしまうことはあるかもしれません。
否定的な声かけはなぜ望ましくないのでしょうか?
それは、否定的な声かけが、より多くの否定的な考えを呼び込んでしまうからです。
そしてこれは、『確証バイアス』という理論で説明できます。
なお、この記事は親子をテーマとしてお話を進めていきますが、ご紹介する内容は、上司と部下、先輩と後輩、コーチと選手など様々な関係に応用可能なものとなっています。
子育て中ではない方も、ぜひ最後までお読みください♪
著者のケヴィン・ダットンはロンドン生まれの心理学者で、「社会的影響」研究の第一人者です。
本の中では社会的な影響力を利用して相手に思わず「Yes」と言わせてしまうテクニックが数多く紹介されています。
詐欺師も使えるようなテクニックですが、お子さんや部下を望ましい方向に(エゴではなく)導いてあげたいときなどにも有用なヒントが豊富に含まれています☆
見たいものしか見なくなる心理的バイアス
『確証バイアス』とは、「自分の考え・意見を応援してくれる情報ばかりに注目してしまう傾向」のことです。
そして「自分の考え・意見を応援してくれる情報ばかりに注目してしまう」ので、それ以外の情報が見えなくなってしまいます。
血液型占いが「当たっている」と感じる理由も、『確証バイアス』で説明できます。
「O型の人は大雑把だ」と思っている人は、O型の人の大雑把な部分ばかり注目してしまうので、より一層「やっぱりO型は大雑把だなぁ」と感じてしまうということですね。
ちなみにこれは、「晴れ男」とか「雨女」みたいなことにも当てはまります。
そして人間は、物事を捉えるときにどうしても『確証バイアス』によって歪められてしまいます。
自分の考えを応援してくれる情報をどうしても選んでしまい、中立的に捉えることはできません。
ダメだと思うと、ダメな部分ばかり見えてしまう
自分の考えを応援してくれる情報を選んでしまう『確証バイアス』と、否定的な声かけが重なると、どんなことが起こってしまうのでしょうか?
お子さんが「できない」「苦手」などを含んだ否定的な声かけをされると、自分のことを「できないのかな」「苦手なのかな」と思うようになります。
こうして、お子さんの「否定的な自己認知」が出来上がります。
そして否定的な自己認知が出来上がってしまったところで『確証バイアス』が働くと、できていないところ、ダメなところに注目してしまい、否定的な自己認知がより強まってしまいます。
わかりやすくするために極端な例を出すと、
「下手だなぁ」と親に言われたお子さんは、
「下手なのかも…」と考えるようになり、
失敗したりうまくいかなかったエピソードばかりを思い出し、
次にやるときにも失敗し、
「やっぱり下手なんだ」と思いを強くする・・・というような悪循環が生まれてしまいます。
否定的な自己認知ができてしまうと、『確証バイアス』が働いて否定的な自己認知がより強まってしまいます。
そのため、否定的な自己認知を作る材料になってしまう否定的な声かけは避けるべきです。
確証バイアスは良い自己認知を高めることもできます
ここまでは、否定的な声かけに焦点をあてて、『確証バイアス』の影響を見てきました。
悪いと思っていると、『確証バイアス』によってより悪い部分ばかりに注目してしまいます。
しかし、反対に、良いと思っていれば良い部分ばかりに注目するようになります!
そしてそのために親ができることは、良い声かけです。
自信や意欲に繋がるような声掛けをたくさん行い、お子さんにポジティブな自己認知ができれば、ポジティブな面により注目できるようになるという好循環が生まれるでしょう!
まとめ
人間には、『確証バイアス』という「自分の意見を応援してくれる情報ばかりに注目してしまう傾向」があります。
そのため、否定的な声掛けによって否定的な自己認知ができてしまうと、否定的な情報ばかり集めてしまうという悪循環が生まれます。
このことから、否定的な自己認知を作る材料になってしまう否定的な声かけは避けるべきです。
反面、同じ理論で、ポジティブな自己認知を持っていれば、ポジティブな情報により注目するようになるので、お子さんにはポジティブな声掛けをたくさん行い、ポジティブな面で確証バイアスを利用したいですね☆
著者のケヴィン・ダットンはロンドン生まれの心理学者で、「社会的影響」研究の第一人者です。