子育て・育児や対人関係に役立つ心理学のテクニック

「子育て・育児や対人関係に使える!」と感じた心理学のテクニックをご紹介します♪

発達障害について⑧:発達障害とイマジネーションする力

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発達障害を中心とした関わる際に配慮が必要なお子さんたちには、いろいろな特性があります。

私は、それらの特性の中で最も社会に適応することを難しくしているものとして、『イマジネーションすることの苦手さ』を挙げています。

イマジネーションする力とは

私の使う『イマジネーション』とは、『想像する』や『目の前にないことを頭の中で考える』ということを指します。

そして発達障害のお子さんたちは、このイマジネーションすることを苦手としている場合が非常に多いです。

 

世界は「目の前にあること+目の前にないこと」で構成されています。
そして、「目の前にないこと」の方がほとんどです。

そのため、目の前にないことを考えることを苦手としていると、生活をする中で様々なやりにくさが生じてしまいます。

 

ここまで、発達障害のお子さんの特性をカメラの例を使って説明してきました。

このカメラの例えの2カメ・3カメが、まさにイマジネーションする力です。

 

自分目線以外の目線からの見え方を考えるということは、頭の中で視点を切り替えるという作業をしないとできません。

人は、イマジネーションする力があるから、相手の気持ちを考えたり、状況を把握することができます。

 

目の前にあること以外のことを考える時には、必ずイマジネーションする力が必要になります。

未来について考える時や計画を立てる時にも、まだ目の前で起きていない出来事を思い描くという作業が必要なので、イマジネーションする力が必要です。

 

「行間」や「間合い」を読むといった時にも、目には見えないことを読み取ることになるので、イマジネーションする力は必要です。

「空気を読む」、「察する」といったことも、イマジネーションする力があるからできることです。

 

このように、イマジネーションする力がないと、「配慮に欠ける」ということになりやすいため、特に良好な対人関係を構築していくことを非常に難しくさせてしまいます。

 

『知識』を教えてスキルを増やす

では、『イマジネーションする力』に苦手さがあるお子さんたちは、どのようにして社会に適応していけばよいのでしょうか?

 

私は、『イマジネーションする力の不足は、知識で補えばよい』と考えています。

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イマジネーションする力がある人たちは、「察する」や「空気を読む」ということをしながらその時求められる望ましい対応をしていきます。

しかし、イマジネーションする力に苦手さがあったら、「察して」対応するということはできません。

 

でも、そのようなときは知識で埋めていけばよいのです。

察して「このような場面ではこうしておこう。」と考えることができなくても、「このような場面ではこうした方がいいらしい。」という知識があれば、同じ望ましい対応ができます。

 

私は就職して初めての会社の飲み会の時に、会費が3500円なのに1万円札を出し、先輩に怒られたことがあります。

私はその時、「お釣りを用意するのは大変」という集金をする人の立場を察することができていませんでした。

しかしそんな察する力がなかった私でも、「会費はぴったりで用意する」という『知識』を得て以降は、求められた対応を取ることができています。

 

このように、イマジネーションする力を使って導き出す行動は、『知識』があれば補うことができます。

そのため、周りの大人が「こういう時はこうするんだよ」や「それをされると、相手はこう思うんだよ」といった『知識』を伝えることで、どんどんスキルを増やしていくということが可能であると思います。

 

イメージする必要がない丁寧な働きかけ

また、イマジネーションすることが苦手なお子さんに対して働きかける時には工夫が必要になります。

それは『イマジネーションする必要がないくらい丁寧に伝えてあげる』ということです。

 

イマジネーションする力がある子は「あれ取って。」という指示だけで新聞を持ってきてくれるかもしれません。

一方、イマジネーションすることが苦手なお子さんには、「テーブルの上にある新聞を取って、パパの所まで持ってきて。」という指示が必要でしょう。

ただこれは、丁寧な働きかけ『さえあればできる』と捉えることができると思います。
丁寧な働き掛け『がないとできない』ではなくて

 

そして、丁寧な働きかけ『さえあればできる』んだからと思って丁寧な働きかけをたくさん行った結果、1人でもできることが増えたとなれば、それは素晴らしいことではないでしょうか。

 

イマジネーションすることが苦手な子にとってやりやすいやり方は、誰にとってもやりやすい

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ちなみに、福祉の言葉に『ユニバーサルデザイン(Universal Design、UD)』という、

高齢であることや障害の有無などにかかわらず、すべての人が快適に利用できるように製品や建造物、生活空間などをデザインすること。(デジタル大辞泉)

という意味の言葉があります。
平たく言うと『誰にとっても使いやすい』ということです。

 

有名な例にシャンプーのプッシュする所のギザギザがあります。

あれは視覚障害の方がシャンプーかリンスかを区別するために付けられているのですが、視覚障害がない方にとっても、シャワーを浴びながら目を瞑ったままでも区別できてとても便利です。

 

『知識を教えてスキルを増やす』も『イマジネーションする必要がない丁寧な働きかけ』も、年長児に対しては「そんなこと知ってるし」や「しつこくてウザい」と言われてしまうかもしれませんが、基本的には誰にとっても成功に繋がりやすい働きかけ方であると思います。

 

「配慮が必要なお子さんにだけ丁寧に働きかける」のではなくて、「基本的には全員に丁寧に働きかけるべきだが、それがなくてもできる子に対しては省略する」という引き算の考え方ぐらいが理想ではないでしょうか。

 

全ての大人が、子どもに対して成功しやすい働きかけをして、世界中の子どもが大人から褒められて幸せな気持ちになれたら、そんなに素晴らしいことはないですね!

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