子育て・育児や対人関係に役立つ心理学のテクニック

「子育て・育児や対人関係に使える!」と感じた心理学のテクニックを整理していきます♪

発達障害について⑰:「適切な目標設定」という発達障害児と関わる際にすべき心構え

お子さんに身につけて欲しいスキルや、「将来こうなってほしい」という理想の姿は、どんな親御さんでも持っていると思います。

それらは、『目標』という言い方が出来ると思いますが、この『目標』は設定次第で成長の基にも負担の基にもなります。

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ずいぶん長くなったシリーズ発達障害ですが、ここ数回は実際にお子さんに働きかける際の具体的なポイントについて説明させていただきました。
終盤に迫った今回からは、ここまでの具体的な関わりよりももう少し大きな、お子さんと関わる際の「心構え」・「スタンス」のようなものについてご説明したいと思います。

これから説明する「心構え」・「スタンス」は、発達障害を中心とした関わる際に配慮が必要なお子さんに対してだけでなく、定型発達のお子さんも含めた全てのお子さんに対して有効なポイントであると思います。
ただ、発達障害等のお子さんたちは、その特性に特徴的な部分が多いため、これから説明させていただくようなポイントを抑えた関わりをした時の効果は顕著だし、反対にいうとポイントを抑えない関わりをした際の難しさも顕著であると思います。

「心構え」・「スタンス」の『共有』が大前提

「心構え」・「スタンス」について考える際に、とても重要なことがあります。
それは、「心構え」・「スタンス」を関係する大人全員が『共有』するということです。

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具体的なポイントで説明させていただいた「正解を伝える」や「一方的な指示・命令を契約という形に変える」といったことは、どんなお子さんに対してもそうしたほうが良いという対応です。
つまり、誰に対しても「正解」です。

しかし、「心構え」・「スタンス」となると、絶対的な正解が1つあるというわけではありません。
集団で行うスポーツが監督によって「攻撃重視」や「守備重視」に変わるように、お子さんと関わる際の「心構え」・「スタンス」も、お子さんの特性を理解した上であれば様々なものがあります。

そのため、お子さん本人も含めて周りの大人が「心構え」・「スタンス」をしっかり『共有』しておかないと、大人によって言うことが違ってしまってお子さんが混乱したり、大人同士の関係が悪くなったりということに繋がってしまいます
「心構え」・「スタンス」の『共有』、本当に大切です。

目標が決まれば、お子さんに求める水準も決まる

では、なぜ目標設定をして、その目標を共有することが大切なのかということですが、それは、「目標が決まれば、お子さんに求める水準も決まる」からです。

例えば、「お子さんにスポーツを習わせる」ということを例にすると、日本代表を目指そうとした時と、体力づくりを目的とした時では、お子さんに求めるものの水準は全く異なります。

また、このスポーツの例で考えれば、日本代表を目指そうとしたら、その親御さんもほぼ毎日通うスクールの月謝を払い、毎日のように送迎し、県外の遠征にも帯同する・・・など、お子さんをサポートするために様々な負担が掛かるでしょう。

このように、目標が高ければ、やらせる親御さんも、やらされるお子さんも大変になります。
ただ反対に、目標が低いと、親御さんの負担もお子さんの負担も少なくて済みますが、お子さんの成長には繋がりにくいでしょう。

つまり、お子さんに合った丁度良い目標を設定することがとても大切であり、そのために必要なことは、やっぱり「お子さんの特性の正確な理解」です。

「お子さんの特性の正確な理解」ができていれば、そのお子さんなりの成長や楽しい生活に繋がる目標を設定することができると思います。

「みんなが当たり前にしている」と考えがちなことを目標にする場合は要注意

発達障害を中心とした関わる際に配慮が必要なお子さんに対しての目標を設定するときには、うっかりしてしまいがちな注意点があります。

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それは、目標を設定するテーマが『「みんなが当たり前にしている」と考えがちなこと』の場合です。

例えば、学校への登校や宿題の提出、好き嫌いや後片付けなどです。
これらの「みんなが当たり前にしていると考えがちなこと」については、親御さんは「みんな普通にやっていることだし」、「私も普通にやっていたし」と考えてしまい、目標の設定がお子さんの特性よりも世間や親御さんの基準に寄ってしまいがちです。

しかし、現状毎日遅刻して登校しているお子さんに月曜から金曜まで朝決まった時間に登校することを求めることは適切でしょうか。
全く宿題をやれていないお子さんに毎日宿題の提出を求めることは適切でしょうか。


このように目標の設定が現状のお子さんの水準以上のものになってしまうと、親御さんは「このぐらいのこともできないの?」とがっかりし、お子さんはできないし怒られるしで嫌になり、親子関係の悪化に繋がってしまうこともあります。

この場合には、親御さんは求めたい目標は意識しつつも一旦置いておき、その目標に繋がるようなお子さんの特性に合った目標を設定することになるでしょう。
お子さんの特性に合った目標の設定は本当に大切です。

大目標と小目標を組み合わせる

「求めたい目標は意識しつつも一旦置いておき、その目標に繋がるようなお子さんの特性に合った目標を設定する」ことのわかりやすい例として思いついたのは「不登校」です。
何らかの理由で不登校状態になったお子さんの再登校を支援する際、当然最終的な目標は「教室でみんなと一緒に朝から最後まで授業を受ける」ということになると思いますが、それを最初から求めるということはしないでしょう。
このような場合には、お子さんの状態を踏まえて「校門まで行ってみよう」「保健室で過ごしてみよう」「午前中は教室で過ごしてみよう」というように少しずつ目標の難易度を上げていきます。

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このように少しずつ目標の難易度を上げ、1つずつ目標を達成していくことを『スモールステップ』と言いますが、これが大きな理想としての目標を達成するための方法になります。

つまり、『お子さんの特性を踏まえた「大目標」を設定し、同じくお子さんの特性を踏まえた、「大目標」に繋がる「小目標」をスモールステップになるように設定し、お子さんの状態に合わせて小目標を微調整しながら大目標に近づけていく』ということが、『お子さんの特性に合った適切な目標設定に基づく目標の達成方法』ということになると思います。

この考え方は、その人の特性と目標の区分けの仕方次第で、「オリンピックに出る」「東京大学に合格する」といった物凄く大きな目標から、「トイレットトレーニング」や「1人で着替えができるようになる」といった子育て上必ず直面するであろう目標にまで使えますし、「目標」を「課題」や「タスク」という呼び方に変えれば、「仕事の何らかのプロジェクト」や「お子さんの学校の文化祭の保護者のブースの設営」といったことを考える際にも使える考え方です。

『特性の理解』、『特性に合った大目標の設定』、『大目標に繋がる小目標のスモールステップでの設定』というキーワードを意識することで、それを意識していない場合と比べて格段にスムーズに事が進むような場面というのは多いのではないでしょうか♪

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