宿題、練習…など、将来のことを考えるとやっておいた方が良いということはみんなわかっていますよね。
だけどできない。なぜでしょうか?
やる気が起こらないから?
だとしたら、親にできるサポートは、お子さんにやる気を出してもらうための働きかけでしょうか?
それも大事ですが、それ以外にもあるのではないでしょうか?
それは「環境を整備する」ということです。
この記事は、『行動デザインの教科書』(國田圭作、2016)から学んだことの記録です。 著者は博報堂行動デザイン研究所の所長を務められており、本作からは市場を「モノではなく行動で捉える」というコンセプトの下で研究されたマーケティングについて様々な知識を得ることができます。「ターゲットに商品を買わせる」ためだけでなく、子育てを含む様々な人間関係の中で有用なアイデアの宝庫です☆
環境が整えば行動できる
参照した『行動デザインの教科書』では、「大切だと思っているけど行動していない」ということの例として「エコ」が挙げられています。
現在では、もうじきコンビニのレジ袋も有料化するなど、エコの意識は高く、エコカー、マイバックなど、エコを意識した行動も多くされています。
では、10年、20年前はどうでしょうか?
産業の発展に伴う公害問題もありましたし、地球温暖化やオゾン層の問題もかなり前から指摘されていました。
現在ほどではないでしょうけど、間違いなくエコに対する意識はあったでしょう。
でも、みんなエコ行動は起こしていない。
これに対する『行動デザインの教科書』の答えは、
行動化する手段が圧倒的に不足していた。
手元にそういうエコ行動を起こす手段が潤沢にあり、むしろエコじゃない行動をするほうがハードルが高い、という状況を実現できれば、エコ行動は拡大します。
です。
確かに、「レジ袋はもったいないよなぁ」と思っても、タダでくれたら思わず使ってしまいますし、「ペットボトルは再利用できるよなぁ」と思っても、近所に回収する場所がなかったら「まぁいいか」とごみと一緒に捨ててしまうでしょう。
つまり、「行動に移せる環境が整っていなかったから、行動に移せなかった。」ということです。
行動しやすい環境を整備しよう
『行動デザインの教科書』では、「意識と行動のギャップ」についての説明もあり、新商品の開発において、発売前の街頭アンケートでは多くの人が「発売されたら買うと思う」と答えたにもかかわらず、売り上げが伸びない商品が非常に多いそうです。
つまり、「意識を高めることは大切ですが、それが必ずしも行動に結びつくわけではない。」ということです。
そこで、
「実際に行動しやすい/したくなる環境」を整備してまず行動を誘発させることに力を注ぐべき
という発想になります。
そして、ここから先は、お子さんにやってほしいことと今の環境の分析から個別の環境整備をしていくことになります。
例えば、宿題をやろうと思っても、やる机の上が汚かったらやろうと思えないので、週末などの時間がある時にまず机の上の整理整頓をしておくといったこともできるでしょう。
お腹をすかせて学校から帰ってくるので、おやつとドリルを並べて置いておいたりしたらいいかも知れません。
こちらの記事の「ついでにチャンス」を散りばめるような調整もできるかも知れません。
大切なことは、「実際に行動しやすい環境」ということ、つまり、行動レベルの工夫をするということです。
意識と行動にはギャップがあります。
将来について語り、叱咤激励してお子さんの気持ちが高まっても、「分かっちゃいるけど…」で行動まで移らないことも多いということです。
できない理由は本人だけにはない
こちらの記事で、良くない時にはその原因を内的なものと結びつけやすいということを書かせていただきました。
しかし、「できない時には、環境側にもできなくしている理由があるかもしれない」と考えることは大切なことだと思います。
『行動デザインの教科書』でも、こんな記述があります。
「意識がありながら行動していない本人がダメだ」と考えず、「その人が行動しやすいようにサポートする手だてを用意していないほうが悪い」と考えるべきなのです。一応、「その気」だけはあるのですから。
「どうやる気をだしてもらうか」も大切ですが、
「どう行動してもらうか」も考えていきたいですね☆
この記事は、『行動デザインの教科書』(國田圭作、2016)から学んだことの記録です。