子育て・育児や対人関係に役立つ心理学のテクニック

「子育て・育児や対人関係に使える!」と感じた心理学のテクニックをご紹介します♪

マインドフルネスの効果☆マインドフルネス瞑想すると、何が起こるのか?

マインドフルネス。

NHKでも特集が組まれたり、グーグルなどの世界的な企業で取り入れられていたりということで、ご存じの方も多いと思います。

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しかし、「マインドフルネス瞑想の何がどうなって効果があるのか」ということを知っている人は、そこまで多くはないのではないかなと感じます。

そこで今回は、「マインドフルネス瞑想の何がいいのか?」ということをお伝えしたいと思います。

この記事の参考文献です☆

マインドフルネス瞑想とは?

マインドフルネス瞑想は、禅宗の瞑想から宗教の要素を取り除き、誰でも行うことが出来るようになった瞑想トレーニングです。

 

マインドフルネス瞑想では、ただ自分のしている呼吸に意識を向けることを繰り返し練習します。

呼吸に意識を向けるのは、雑念から離れ、『今・ここ』の身体感覚と繋がるためです。

 

一般的に言われているマインドフルネス瞑想の効果としては、「ストレスの軽減」や「集中力の向上」が挙げられます。

ではなぜ、自分のしている呼吸に意識を向け、『今・ここ』の身体感覚と繋がることが、「ストレスの軽減」や「集中力の向上」に効果があるのでしょうか?

 

マインドフルネス瞑想をすると、「時が進む」

本来、人の感情は長くは続きません。

つまり、どんなに嬉しいこと・楽しいことがあっても笑い続けることはないし、どんなに辛いこと・悲しいことがあっても、泣き続けることはできません。

 

・・・と言っても、「ずっと悲しい気もちが消えない」ということを経験したことがある人や、今その最中という人もいるかもしれません。

その人たちはどうしてそうなっているのかというと、「辛い記憶の再放送を流してしまっている」のです。

 

そっとしておけば自然に感情は薄らいでいくのですが、頭の中で定期的に再放送を流し、それを見てしまうため、記憶が鮮明な状態を維持してしまいます。

こうして、「過去に囚われる」という状態が起きます。

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そして、この「過去に囚われる」という状態を改善するために、マインドフルネス瞑想が有効ということになります。

 

自分の呼吸に意識を向け『今・ここ』の身体感覚と繋がっている時は、意識は過去に飛ばず、現在に留まっています。

過去に戻らずに『今・ここ』に留まれば留まるほど、時は進み、感情は薄らいでいきます。

辛い過去の再放送を流さず、現在に留まることで、「過去への囚われ」から解放されていきます

 

『今・ここ』の身体感覚と繋がることで、不安が軽減する

「過去への囚われ」と同じメカニズムが、「未来の不安」についても言えます。

 

不安の高い人は、起こるかもわからない、また確認もできない良くない未来を推測し、不安を高めてしまっています

つまり、「意識が未来に飛んでしまっている」ということです。

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ということは、『今・ここ』の身体感覚とつながり、意識を現在に留めることは有効です。

意識を現在に留めながら、時を進めていきます。

地に足をつけて、着実に時を進めていけば、いずれは推測しようとしていた未来に到達します。

現在に意識を向けながら、現在に対処していけば、未来について不安になることはありません

 

このように、意識は、過去に戻っても、未来に飛んでもいいことはありません

過去は今更どうにもならないし、未来はやってみなければわからないからです。

マインドフルネス瞑想は、『今・ここ』の身体感覚とつながることで、意識を現在に留めます

意識を現在に留め、着実に時を刻んでいくことを助けます。

このことが、結果的にストレスや不安の軽減につながります。

 

マインドフルネス瞑想をすると、「脱中心化」できる

ここまでは、時間軸に沿ったマインドフルネスの効果をお伝えしてきました。

続いては、「自分の思考との距離」という視点からのマインドフルネスの効果についてです。

 

マインドフルネス瞑想では、ただ自分のしている呼吸に意識を向けることを繰り返し練習します。

呼吸に意識を向けるのは、雑念から離れ、『今・ここ』の身体感覚と繋がるためです。

 

そして、呼吸に意識を向けることで、『今・ここ』の身体感覚に注意を集中することを繰り返すと、現実と思考がごちゃ混ぜになっている所から一歩下がって、「外す」ことができるようになります

これを『脱中心化』と言います。

 

『脱中心化』とは、文字通り、中心を脱するということです。

「問題の中心から脱する」という言い方や、「渦中から脱する」という言い方ができると思います。

 

サッカーやバスケットボールで例えると、中心にいる状態というのは、まさにグラウンドやコートで試合に参加しているような状態です。

ディフェンスが迫ってきたら、冷静さを欠いてしまうこともあるかもしれません。

一方、『脱中心化』できている状態だと、スタンドから試合を眺めているような視点を持つことができます。

どちらが冷静にその試合を捉えることができるかと言ったら、その差は明らかですよね。

 

『脱中心化』できるようになると、思考に振り回されることなく、落ち着いて現実について考えることが出来ます

そのため、ストレスが掛かった場面でも、冷静に・客観的に対応することが出来ます。

 

例として、「大学受験の失敗」で考えてみましょう。

『脱中心化』できていない、現実と思考が混ざった状態だと、「志望校に落ちた。人生終わりだ…」というように、『絶望的な現実』と捉えてしまいます。

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しかし『脱中心化』できている、現実と思考を切り離した状態だと、距離を取って、『志望校に落ちて、絶望的になっている自分がいる現実』と捉えることができます。

 

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ちょっとした表現の違いですが、「心との距離感」と考えると大きな差がありますよね。

『脱中心化』できており、「志望校に落ちて絶望的になっている自分がいるなぁ。」と距離を取って捉えることができれば、「まぁ、滑り止めで受かった大学で頑張るか。」や「今まで以上に学歴を問われない時代になっていくだろうし…。」などと冷静に考えることができる確率はグッと上がるでしょう。

 

この、『脱中心化』して、「気持ちと距離を取った冷静な対応をする」というスキルを身につけることを狙って、海外では依存症の治療にマインドフルネスが取り入れられていますし、日本ではすべての少年院でマインドフルネスが導入されているそうです。

極端な言い方になりますが、「パチンコしてぇ!」「こいつをぶん殴りてぇ!」と思っていた人が、『脱中心化』して「パチンコをしたくなっている自分がいるなぁ」「こいつをぶん殴りたくなっている自分がいるなぁ」と捉えられるようになるわけですから、もの凄い治療効果ですよね。

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そして、依存症の方や少年院に入所中の少年たちに効果があるなら、当然その他の人たちにだって効果があります。

日々の生活の中で、焦ることやイライラすることは誰にでもあると思います。

そんな時、「焦っている自分がいるなぁ」「イライラしている自分がいるなぁ」と捉えることができれば、その後のパフォーマンスには良い影響があるでしょう♪

 

マインドフルネス瞑想の方法

マインドフルネス瞑想の方法は、姿勢を正して、ただ自分のしている呼吸に意識を向けるだけです。

 

姿勢を正す

立っていても座っていてもできます。

背筋を伸ばし、肩・顔の力を抜きます。目は軽く閉じるか、少し開けてどこか一点を見つめるようにします。

 

呼吸に集中する

ゆったりと気持ちの良い呼吸をしていき、繰り返される呼吸にただ意識を集中します。

呼吸以外のものに意識が向いていることに気づいたら、また呼吸に意識を戻します

ただそれを繰り返していきます。

呼吸に意識を向けるということが難しい時には、「空気が鼻から入って出ていくこと」や、「呼吸によってお腹が動いていること」に集中すると良いでしょう。

 

CD付きの本や無料の動画がたくさんあります♪

マインドフル瞑想は、基本的には上記の方法でいつでも・どこでも気軽にできるものです。

何かイラっとするようなことがあった時に、ちょっとその場を離れてやったり、コンテストや重要なプレゼンの前などにも行うことができます。

 

また、CD付きの本や動画がたくさんあります。

たいてい、ヒーリングミュージックが流れて優しい声で指示を出してくれるので、その指示に従っていくだけで瞑想の練習ができます。

様々な書籍を試しているわけではないので、超個人的なおススメになりますが、挙げるとしたら『親と子どものためのマインドフルネス』です。

5歳のお子さんから対象になっており、タイトルの通り親子でできるということと、お子さんでもできるように簡単な説明になっていることがおススメの理由です。

一方で、お子さんでもできるように指示は細かく多いので、自分のペースでやりたい方には不向きな本かもしれません。

 

マインドフルネ瞑想はすぐには効果は出ません

マインドフルネス瞑想は、1回数分間でいいので、毎日繰り返していくことで効果が出てきます

眼を開けた時にちょっとスッキリしているくらいの効果は1日目からあるかもしれませんが、『脱中心化』といったことが「出来てきているかなぁ」と感じるためには、少なくとも数週間は掛かるでしょう。

 

ちなみに、海外で行われている、マインドフルネスを中心に添えた依存症のプログラムは、毎週1回2時間のセッションと、宿題として毎日40分間の家での瞑想が課され、それが8週間続きます。

「プログラム」という枠にしようと思ったら、これくらいやった方が良いということです。

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ここまでやる必要はないと思いますが、継続することはどうしても必要です。

しかし、継続した先には『脱中心化』という状態になることができるかもしれません。

『脱中心化』という状態になれば、俯瞰した状態で物事に取り組むことができるようになるので、結果としてストレスマネジメントが上手くなる、集中力が向上するなど、パフォーマンスの全体的な向上が見込まれるでしょう☆

 

今回は、「マインドフルネス瞑想はなぜ効果があるのか?」ということをご説明させていただきました。

理屈が分かったことで、マインドフルネス瞑想を「やってみよう」「続けてみよう」と思いやすくなっていただけたのであれば幸いです♪

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