コミュニケーション…。
なんて難しいんでしょう…。
強く言いすぎてしまったり、遠慮しすぎてしまったり、適度な距離感でコミュニケーションを取っていくということはなかなか出来ないですよね。
そんな時、「自分も相手も大切にする」という『アサーション』の考え方はとても有用です☆
ご存じの方も多いと思いますが、無理のない人間関係を作りやすくなる考え方なので、ご紹介させていただきます♪
この記事は、『アサーション~さわやかな「自己表現」のために~(平木典子、2009)』から学んだことの記録です。
アサーションとは?
『アサーション』とは、「自分も相手も大切にするコミュニケーション」のことです。
英語の「Assertion」は、直訳すると「主張」とか「断言」となり、「伝えたいことをハッキリ伝える!」というニュアンスしかありません。
しかし、1970年前後のアメリカでの黒人差別に対する運動の際に、「相手を傷つけることはしないが、言うべきことはハッキリ主張する」という意図で使われるようになり、今の定義に発展したそうです。
そして、この概念が日本にくる際に、日本語は当てずにカタカナで『アサーション』と表現することになったそうです。
そして、この『アサーション』=「自分も相手も大切にするコミュニケーション」は、言語(言葉遣い、会話内容)だけでなく、非言語(表情・姿勢)も含まれます。
また、「人はそれぞれ、考え、見方、理解の仕方、価値観が違う」ということを前提としています。
3つの自己表現タイプ
『アサーション』の考え方では、自己表現のタイプを3つに分類しています。
①攻撃的(aggressive)
『攻撃的』な自己表現とは、「自分を優先し、相手を抑える自己表現」です。
英語にすると分かりやすくて、「 I am OK , You are not OK . 」です。
ドラえもんのキャラで例えて、「ジャイアンタイプ」と説明されたりもします。
自分の言い分を通し、相手の言い分を聞こうとしません。
そして、「自分は正しい」という姿勢・態度で、相手を操作的に動かそうとします。
『攻撃的』になる理由としては、権力や地位を得たい、自分の欲求を通したい、勝ちたいといったことが挙げられます。
『攻撃的』なコミュニケーションをとると、思い通りになって一時的な自己満足感は得られますが、結果的には、相手を傷つけたことで後悔したり、周囲から敬遠されて孤立してしまったりします。
②非主張的(non-assertive)
『非主張的』な自己表現とは、「自分を抑えて、相手を立てるような自己表現」です。
英語にすると、「 I am not OK , You are OK . 」です。
こちらはドラえもんのキャラで例えると、「のび太タイプ」と説明されます。
自分は二の次という姿勢・態度で、言いたい事を言わなかったり・言えなかったり、あるいは伝わらないような言い方をしたりします。
『非主張的』になる理由としては、自分の考え・気もちがハッキリしていなかったり、「排除」や「葛藤」を経験したくないということが挙げられます。
『非主張的』なコミュニケーションをとると、欲求不満がたまって相手を恨むようになったり、主張できない自分を責めたりということになります。
③アサーティブ(assertive)
『アサーティブ』な自己表現とは、「自分も相手も大切にした自己表現」です。
英語にすると、「 I am OK , You are OK . 」です。
ドラえもんのキャラだと、「しずかちゃんタイプ」と説明されます。
以上のように、『アサーション』の考え方では、自己表現を3つに分類します。
これを、先ほどから例に出しているドラえもんでありそうな場面で示すと、
〇『攻撃的』
=「おい!放課後は野球だ!」
〇『非主張的』
=(本当は家で漫画を読みたいけど)「分かったよ…。行くよ。」
〇『アサーティブ』
=「誘ってくれてありがとう。でもごめんなさい。今日はヴァイオリンのレッスンがあるの。次からは、何日か前に誘ってもらえると助かるわ。」
といった感じになります♪
アサーティブ・マインド
『アサーティブ・マインド』とは、『アサーティブ』な自己表現をするための前提となる考え方です。
『アサーティブ』な自己表現のためには、『アサーティブ・マインド』を常に意識してコミュニケーションをとることになります。
また迷ったり困ったりしたときには、この『アサーティブ・マインド』に立ち返って判断をしていきます。
アサーティブ・マインド①:誠実であること
自分の気もちに正直であるということです。
自分に嘘をつかず、自分が持っている本当の気もちを認めることから、『アサーティブ』な自己表現はスタートします。
アサーティブ・マインド②:対等であること
『アサーティブ』な自己表現をするためには、自分も相手も、等しく人間としての尊厳を持っているということを意識するということが必要です。
アサーティブ・マインド③:率直であること
自分と相手の両方を大切にするということを基本としたうえで、相手の気持ちを尊重しつつ、自分の主張を率直に伝えることが大切です。
アサーティブ・マインド④:自己責任
自分の意見を率直に伝えた結果、自分が望んでいない反応が返ってくることもあると思います。
それも、「自分が発言した結果」として受け入れなければなりません。
ただし、「自分が悪かったかも」と自分を責める必要はありません。
相手が受け入れるか拒否するかは、相手の判断であって、自分の領域ではないからです。
自分の気持ちと相手の気持ちを分けて考え、どんな結果でも、自分も相手も尊重するようにします。
自分ではどうすることも出来ない場面を、自分とは分けて考えて自分を責めないようにすることは、こころの健康のためにはとても大切なことだと思います。
『アサーティブ・マインド』を意識した『アサーティブ』なコミュニケーションの流れ
『アサーティブ・マインド』を意識した自己表現をしようとすると、以下のような流れになります。
①自分の気持ちに素直になります。
②③上からになったり、遠慮しすぎたりすることなく、対等な立場で、率直に意見を伝えます。
④自分が発言した結果でどのようになっても、受け入れます。
意見が通らなかった場合には、再度提案するなど、歩み寄りも必要になるかもしれません。
どのような結果になっても、自分も相手も尊重します。
以上を図で表すと、こんな感じです☆
『アサーティブ』が難しい時でも、「選択する」意識だけは忘れない
『アサーティブ』な自己表現…。
「出来たらいいけどさぁ…。」と感じた人もいるのでないでしょうか?
現実の場面では、『アサーティブ』は机上の空論で、自分の考えを押し殺さざるを得ないような場面もあるかもしれません。
そんな時でも、「本当はこうしたいけど、今はこっちを選んだ」というように、「選択する」「コントロールできている」という意識は忘れないようにしてください♪
「抗うことも出来ずにただ流されている」となるのと、「コントロールできている」となるのとでは、こころの負荷は大きく変わります。
ぜひ、『アサーティブ』に出来ない場面でも、「不本意ながらも、こちらを選んだ」と「選択する」意識を持って下さい。
最後に、人間関係に疲れた時に読むと効きそうな詩をどうぞ
ゲシュタルト療法という心理療法を考案した、パールズという天才セラピストが作った『ゲシュタルトの祈り』です。
「自分も相手も大切にする」ということを感じることが出来る詩だと思います。
人間関係に疲れた時などに、ぜひ読んで頂きたい詩です。
私は、私のために生きる。
あなたは、あなたのために生きる。
私は、何もあなたの期待に応えるために、
この世に生きているわけではない。
そして、あなたも私の期待に応えるために、
この世にいるわけではないでしょう。
私は私。あなたはあなた。
でも、偶然私たちが分かりあえるなら、
それは素敵なこと。
たとえ分かりあえなくても、
それもまた同じように素晴らしいこと。
自分も相手も大切にした、『アサーティブ』なコミュニケーションを☆
この記事は、『アサーション~さわやかな「自己表現」のために~(平木典子、2009)』から学んだことの記録です。