子育て・育児や対人関係に役立つ心理学のテクニック

「子育て・育児や対人関係に使える!」と感じた心理学のテクニックを整理していきます♪

ぜひ知って欲しい!子育てに役立つエリクソンの発達理論①☆:乳児期編

子育て…何が正解か分からないですよね!

そもそも唯一の正解なんてないんですけど。

ただ、大枠として「こんな感じにやっていけばいいよ」という後ろ盾があったらちょっと安心できますよね。

 

そこでご紹介したいのが、エリクソンの発達理論です。

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心理学の世界には、2人の超有名なエリクソンがいます。

1人は、催眠で有名なミルトン・エリクソン。

そしてもう1人が、発達理論を体系化した、今回ご紹介するエリク・ホーンブルガー・エリクソンです。

 

エリクソンの発達理論は非常に有能で、日本で有名な精神科医の佐々木正美先生も色々な本でご紹介されています。

佐々木先生の数ある名著の中でも特別有名な『子どもへのまなざし』も、ベースとなっているのはエリクソンの理論と言っていいと思います。

 

私も、子どもの支援に携わっている時には、担当しているお子さんについての報告書のようなものを書くときにエリクソンの理論は良く引用していました。

 

そんな理由で、ぜひ皆さんにも知って頂きたく、今回から何回かに分けてエリクソンの理論をご紹介させていただきます♪

佐々木先生の代表作です☆

エリクソンの発達理論

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(写真:Wikipedia)

エリクソンは、あの有名なフロイトのお弟子さんで、ユダヤ系アメリカ人です。

 

エリクソンは、アメリカで様々な民族の子育てに触れる機会があり、「子育てにおける大切なことは、どんな民族にも共通している」という結論を導き出します。

 

そして、人間の一生を8つの段階(乳児期、幼児期、児童期、学童期、思春期・青年期、成人期、壮年期、老年期)に分け、それぞれの時期に、成熟・発達していくための主題(発達課題)があるとしました。

 

さらにエリクソンは、このそれぞれの段階の乗り越えるべき発達課題は、それ以前にクリアした発達課題を駆使して達成されていくと考えました。

「心の発達は積み重なっていく」ということですね。

 

また、このエリクソンの理論は、社会性の発達や成熟を考慮しているということもポイントです。

それぞれの発達段階で、必要な他者との関わりを通して人は成長していくとされています。

 

エリクソンの発達理論は、8つの発達段階に分け、それが積み重なっていくということで「ライフサイクル論」と呼ばれたり、社会性も考慮しているということで「心理社会的発達理論」と呼ばれたりします。

 

今回は第1弾で、乳児期(~1歳半)についてご紹介します♪

 

乳児期(~1歳半)の発達課題は、『基本的信頼感』の獲得

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エリクソンは、乳児期(~1歳半)に達成すべきことは、『基本的信頼感』の獲得であるとしています。

 

『基本的信頼感』とは、

「自分の全てをあるがままに受け入れてくれる他人がいる」という安心感と、「自分は他人に受け入れられる価値のある人間なんだ」という自分自身に対する信頼感

 のことです。

 

まとめると「自分と周囲の人のことを信頼できる感覚」という感じでしょうか。

もうちょっとお話を大きくすると、「自分や自分の人生のことをOKと思えている感覚」と言えると思います。

その点で、「基本的な信頼感」と言えます。

エリクソンはアメリカ人なので、『ベーシックトラスト basic trust』と呼びました。

 

『基本的信頼感』は、求めたことに対して養育者に答えてもらうことを繰り返し経験することで、獲得していきます。

赤ちゃんは、自分では何もできません。

養育者に求めたことに答えてもらうことで、「自分にはどうやら、他人に受け入れられる価値があるようだ」ということと、「この人(養育者)が受け入れてくれるのであれば、その他の人もきっと受け入れてくれるだろう」という、上記で説明した「自分と周囲のことを信頼できる感覚」が養われていきます。

 

基本的信頼感を獲得できると・・・

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『基本的信頼感』は、「自分や自分の人生のことをOKと思えている感覚」のことです。

この感覚を持つことができれば、それは「自己肯定感」「自信」というものに繋がっていきます。

 

反対に、『基本的信頼感』の獲得に失敗すると、それは「自己肯定感」が養われなかったということなので、「困難にぶつかった時にすぐに諦める」「周囲に対する漠然とした不信感を持つ」「自身に対する無力感・自己不全感を持つ」といった状態になってしまいます。

 

『基本的信頼感』の獲得のためには

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『基本的信頼感』の獲得のために必要なことは、「赤ちゃんが望んだことは満たしてあげる」ということです。

 

佐々木正美先生は、乳児期(~1歳半)は、「子どもの要求は全部かなえてあげる」ぐらいの気持ちで育てるのが良いと主張されています。

 

また、「養育者に対する信頼の大きさは、養育者に充分「依存」できたかで決まる」とも述べています。

「依存」というと悪いイメージがあるかもしれませんが、佐々木先生は「子どもが、自分が望むように愛されること」という意味で「依存」という言葉を使っています。

 

養育者に完全に身を任せるというか、もたれかかるというか、そんなイメージです。

「絶対に受け止めてもらえる」という確信があるから、100%身を任せることができるということですね。

 

そして、この時期に充分依存できないと、返って後に依存的になることもあります。

これは、不登校・ニート・引きこもりといった現れ方をすることもあります。

 

乳児期に我慢させるとどうなるのか?

抱き癖

 「赤ちゃんの要求に全て答えなさい」と対になる考え方の1つに、「抱き癖がつくから抱かない(=要求に答えない)」というものがあると思います。

 

これは、現代では完全に否定されていて、産婦人科や保健センターでも「どんどん抱っこしてあげてください」という指導に変わっています。

理由は、ここまで説明してきた通りだからです。

 

「抱き癖」についての考え方は、1940年代にアメリカのスポックマン博士によって提唱されました。

日本でも、1960年代から「母子手帳副読本」に掲載されていました。

「抱き癖」については、その後の研究が進んで誤りであるということが分かり、スポックマン博士自身も「私の主張のせいで多くの子どもが愛着障害になってしまった」と誤りであったと認めています。

しかし残念ながら、日本ではその後20年の間「母子手帳副読本」に掲載され続けました。

このことで、「母と祖母の間の抱き癖問題」が勃発したりしてしまいました。

 

乳児院での実験

 戦後の海外の乳児院で、夜中に授乳をするグループと、泣かれてもミルクをあげないグループに分けて、その後の経過を追う実験が行われました。

 

夜中にミルクをあげないということを徹底すれば、数日すれば夜中に泣かない赤ちゃんになります。

 

しかし、その後の経過を見ていくと、ミルクをもらえなかった赤ちゃんは、「よい子」「我慢強い子」になったわけではなく、「諦めのよい子」になってしまっていました。

 

この結果からも、乳児期は「願いは叶わないこともある」ということを学ぶ時期ではなく、「100%受け止めてもらえる」という経験を積み重ねるべき時期であると言えます。

 

子どもの要求を全部叶えるのは、自然に巣立ってもらうため

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 佐々木先生のこの考え方は、

お腹いっぱいにさせてあげれば、自然と巣立っていきますよ。

反対に、この時期に我慢をさせてお腹を空かせたままにさせてしまうと、上手く飛び立ってくれません。

 というイメージだと思います。

 

1歳半を過ぎると、トイレトレーニングなど、我慢を学ぶ時期が始まります。

ここで、なぜ素直に我慢を学んでいけるかと言えば、それまでの間に、十分満足させてもらえていたからです。

満足できていたから、我慢したり、譲ったりということができます。

自分が持っていないのに、周りに「どうぞ」とは譲れませんもんね。

 

そのため、1歳半までの乳児期は、「子どもの要求は全部かなえてあげる」ぐらいの気持ちで育てるのが良いということになります。

これから始まる我慢の練習の前に、まずは満足させてあげるということですね。

ここで満足できていないと、「なんで俺ばっかり!」となってしまいます。

 

お子さんが1歳半までの間、泣かれて夜中に抱っこするのは、とても大変なことです。

しかし、ここでお腹いっぱいになってもらうと、その後の10数年がとてもスムーズになります。

 

可能な限りお子さんの要求に答えてあげ、自己肯定感、意欲、前向きに生きていくための素となる基本的信頼感を獲得させてあげましょう☆

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