子育て・育児や対人関係に役立つ心理学のテクニック

「子育て・育児や対人関係に使える!」と感じた心理学のテクニックをご紹介します♪

もっと知って欲しい!子育てに役立つエリクソンの発達理論③☆:幼児後期編

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4歳~7歳頃は、お友達との交友や習い事など、お子さんの活動範囲がグッと拡がる時期ですよね。

 

発達理論①・②としてご紹介したエリクソンの理論は、この時期にもとても有効です♪

 

*「発達理論①・②」はコチラ♪

エリクソンの発達理論は非常に有能で、日本で有名な精神科医の佐々木正美先生も色々な本でご紹介されています。

佐々木先生の数ある名著の中でも特別有名な『子どもへのまなざし』も、ベースとなっているのはエリクソンの理論と言っていいと思います。

 

私も、子どもの支援に携わっている時には、担当しているお子さんについての報告書のようなものを書くときにエリクソンの理論は良く引用していました。

 

今回はエリクソンの発達理論③ということで、幼児後期(4歳~7歳)をご紹介させていただきます♪

佐々木先生の代表作です☆

エリクソンの発達理論

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(写真:Wikipedia)

*この項目は①・②と同じです(^^;

①からお読み頂いている方は飛ばしてください♪

 

エリクソンは、あの有名なフロイトのお弟子さんで、ユダヤ系アメリカ人です。

 

エリクソンは、アメリカで様々な民族の子育てに触れる機会があり、「子育てにおける大切なことは、どんな民族にも共通している」という結論を導き出します。

 

そして、人間の一生を8つの段階(乳児期、幼児期、児童期、学童期、思春期・青年期、成人期、壮年期、老年期)に分け、それぞれの時期に、成熟・発達していくための主題(発達課題)があるとしました。

 

さらにエリクソンは、このそれぞれの段階の乗り越えるべき発達課題は、それ以前にクリアした発達課題を駆使して達成されていくと考えました。

「心の発達は積み重なっていく」ということですね。

 

また、このエリクソンの理論は、社会性の発達や成熟を考慮しているということもポイントです。

それぞれの発達段階で、必要な他者との関わりを通して人は成長していくとされています。

 

エリクソンの発達理論は、8つの発達段階に分け、それが積み重なっていくということで「ライフサイクル論」と呼ばれたり、社会性も考慮しているということで「心理社会的発達理論」と呼ばれたりします。

 

*「発達理論①・②」はコチラ♪

  

幼児後期(4歳~7歳頃)の発達課題は、『自発性・積極性』の獲得

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エリクソンは、幼児後期(4歳~7歳頃)に達成すべきことは、『自発性・積極性』の獲得であるとしています。

 

『自発性』は、「好奇心や探求心」の開発を促し、「想像力・創造力」の基盤となります。

 

1つ前の幼児前期の発達課題であった『自律性』は、自分自身のコントロールのこと、つまりベクトルの方向は自分自身に向かっています。

そしてそれに続く幼児後期の発達課題は、『自発性・積極性』ということで、ベクトルの方向は外・周囲に向かっています

 

エリクソンはこのことについて、「自分の中に気づき始めた強さ、安定感、規則性を、外の世界に見つけようとする」と述べています。

 

自分自身についての整理がひと段落したことで、「自分の周りはどうなっているのかな?」という興味関心が湧いてきたということですね。

 

自分で自分の欲望や衝動をコントロールすることができるということが、「何かがあっても自分で何とか出来る」という自信に繋がり、探求・探索するための動機になります。

 

『自発性・積極性』を獲得できると・・・

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文字通りなのですが、『自発性・積極性』を獲得できれば、周囲に対して自分から・積極的に関わっていくことができます。

 

『自発性・積極性』は、創造的に生きるための原動力となり、また「意欲的・情熱的」に物事に取り組むための基盤となります。

 

反対に、『自発性・積極性』の獲得に失敗すると、「不安の高さ、臆病さ」や「消極性、人を頼る傾向」に繋がってしまいます。

 

『自発性・積極性』の獲得のためには

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いたずらを尊重する

幼児後期の子どもは、大人からしたらいたずらや誤りとしか思えない行動を繰り返します。

 

エリクソンと同じかそれ以上に有名な、子どもの認知の発達の権威のピアジェは、この時期の子どもの行動を「科学者が謎を究明するために実験を繰り返すことと同じ」として、小さな科学者と呼びました。

 

この時期の子どもにとっては、探求や探索によって知識が蓄積していくことが楽しくてしようがありません。

そして、大人にとってはいたずらやくだらない行動としか思えないことも、子どもに取っては大実験・大調査です。

つまり、『自発性・積極性』は、いたずら遊びによって育まれるということです。

 

そのため、幼児後期の子育ては、けがや事故に気をつけながら、十分にいたずら遊びをする機会を確保するということが必要になります。

 

楽しさを奪わない

子どもたちは、なぜいたずらを繰り返すのでしょうか?

それは、楽しいからです。

 

ここまでのお話の通りで、自分自身のコントロールができるようになって、外に関心を向けたら、楽しいこととたくさん出会うことができた。

「もっと、もっと!」

↑これが、「自発性・積極性」の基になります。

 

つまり、子どもの学びには、楽しさ、好奇心、ワクワクドキドキ、このような表現になるものが必要です。

反対に、子どもが楽しさを見いだせないことを強制することは、『自発性・積極性』の獲得とは逆効果で、自主性のない人格を作ってしまうことにもなりかねません。

 

その点では、「子どもが楽しむことができていない」早期教育は危険と言えます。

自分が信頼している大人が、いたずらを認めてくれず、楽しいと思えないものばかりを強要してくるとなると、子どもは「大人が言わないことはしない方が良いのかな」と考えるようになり、様々な物に興味関心を持つことを控えるようになってしまいます。

また、「大人に受け入れてもらえない」という状況にもなりますので、不安感が高まり、指示や許可がないと動けないということにも繋がってしまいます。

 

まとめ

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幼児期後半、4歳~7歳の時期に獲得すべき発達課題は、『自発性・積極性』です。

 

『自発性・積極性』は、子どもが自然に興味を持ったことに取り組むことの積み重ねによって育まれていきます。

 

そのために大人ができることは、けがや事故に気をつけた上で、子どもが心ゆくまで興味関心を持ったものに取り組むことができる環境を提供することです。

 

しつけによって社会性が養われる、早期の教育によって自信がついて自己肯定感が高まる、といったことも当然あります。

 

大切なことは、興味関心に費やす時間と、しつけ・教育のバランスと、楽しみながらできるというスタンスを忘れないということです。

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