本日の豆知識は、「本来の愛着って、こういうものですよ☆」というお話です♬
「普通」に子育てすれば、愛着は形成される♬
「『愛着』は大切です」ということに異論はないと思います。
ただ、この『愛着』という言葉は、この漢字の持つ意味から、かなり拡大解釈されてしまっています。
本来の『愛着』には、「母と子の絆」みたいな意味はありません。
『愛着』は、もっと生物学的なものです。
『愛着』という概念は、1950年ころに、ロンドンの臨床医だったジョン・ボウルビィによって提唱されました。
ボウルビィによる本来の『愛着』の定義は、
「無能で無力な乳児」が「有能で賢明な養育者」に、生存の安全と心の安心を確保するために養護を求めること
です。
もの凄くザックリ言い換えると、
『子どもがピンチな時に、生き残るために養育者を求めること』
が愛着です。
つまり、楽しい時間を親子で楽しく過ごせたからといって、『愛着』があるとは言いません。
お子さんに何かしらの負荷が掛かって、嫌だったり・痛かったり・不安だったりしたときに、「ママ~!」などと求める・寄ってくるということが、『愛着』です。
「愛着が大切」ということの真意は、「愛に溢れた環境で養育してあげて♬」ということではなく、「お子さんの安全・安心を保障してあげて☆」ということです。
そして、『愛着』により保障された安全・安心を基に、自分が生きる価値とか、積極性といったものを養っていきます。
なので、愛着の対象は、母である必要もありません。
父も、祖父母も、幼稚園・保育園の先生も、愛着対象になり得ます。
また、愛着対象は1人とも限りません。
愛着対象は複数人いて、そこに順位付けがあると言われています。
(パパと遊んでいたのに、ママが帰ってきた瞬間に「ママ~!」となるというパパにとって寂しい状況は、ママがしっかりと愛着対象の頂点に君臨してくれているということの証で、むしろ良いことです)
では、安定した愛着関係を作るためにはどうしたら良いでしょうか?
参照した「子育ての知恵」の著者の高橋氏は、まだ決定的な要因はないと前置きをしながら、
安定した愛着を育てるには、特別に頑張らずに、養育者がそれが普通だと思う子育てをすればよい
と提案しています。
ここまでの説明のとおりで、『愛着』は絆どうこうの話ではなく、生き残るための生物学的なお話です。
生き残り、種を残すために必要なことが、難しくて特別なことだったら、その種は絶滅してしまいますよね。
なので、「普通」の環境で養育できているのなら、「普通」にやっていてくれれば『愛着』は形成されるということです。
お子さんは、大人に養育しようと思わせる要素をたくさん持って産まれてきます。
お子さんを養育するのに適した環境にいるならば、養育者はお子さんを見た時に感じる感覚に素直に従って行動するだけで、安定した『愛着』を築くことができる働きかけになるでしょう。
つまり、安定した『愛着』を形成するためにすべきことがあるとすれば、それは関わる際にどうこうと言うものではなく、養育者が安心して・心にゆとりをもってお子さんに接することができる環境を整えるという、準備段階のものであると思います。
人間には、生涯にわたって心の安全基地が必要です。
お子さんのためにも、まずは養育者自身が安心・安全な環境を築く必要があるでしょう☆
私は本日で、本職の今年の業務が終了になります。
(本当は28日も営業日ですが、「休める人は休んで休暇を長期に…」と職場からお達しがあったので、休んじゃいます♬)
なので、なんとなく平日更新にしていたこのブログも、今年の更新はこれにて終了にさせて頂きます☆
記事をお読みいただいている皆さん、大変お世話になりました!
特に、毎回のようにコメントをくださるaka_koushiさん、atchanyuichanさん、faxwatchさん、jukupapaさん、pandamama-ikujiさん、RICO_Ysanさん、Seshio-Researcherさん、shimausjさん、yu_me_po-llyさん(なんとなくアルファベット順)、皆さんのコメントが励みで、途中からとってもショートな豆知識記事だけになってしまいましたが、更新を継続することが出来ました。
ありがとうございました☆来年もよろしくお願いします♬
それでは皆さん、良い年末年始をお過ごしください!
この記事は、『子育ての知恵 幼児のための心理学(高橋恵子、2019)』から学んだことの記録です。 著者の高橋恵子氏は、現在聖心女子大学の名誉教授で、長年発達心理学の第一線で活躍されてきた方です。 高橋氏は本書について、“私の半世紀を超えた心理学の研究者としての、子どもの発達についての現時点での「結論」を書いたもの”と述べており、子育てにおける通説についての、科学に基づいた丁寧な説明がされています。 「子育てとはこうあるべきもの」という昔からある考え方に悩まされている方は、ぜひ手に取って頂きたい作品です♪