ビジネスの場でも、プライベートでも、相手に自分の主張を通したい場面はたくさんありますよね。
相手を説得しなければいけない場面ですね。
人間は当然ですが支配されることを嫌うので、説得しなければならない話し合いの場では相手が構えてしまうことが多いでしょう。
「お前の言うことなんて聞くものか!」となっている相手を説得することは至難の技です。
そこで今回は、アメリカの天才詐欺師キース・バレットが相手を意のままに操る時に意識していたポイントをご紹介します。
このエッセンスを意識すれば、相手の懐に入ることが今より簡単になるでしょう♪
著者のケヴィン・ダットンはロンドン生まれの心理学者で、「社会的影響」研究の第一人者です。本の中では社会的な影響力を利用して相手に思わず「Yes」と言わせてしまうテクニックが数多く紹介されています。
詐欺師も使えるようなテクニックですが、お子さんや部下を望ましい方向に(エゴではなく)導いてあげたいときなどにも有用なヒントが豊富に含まれています☆
3つの「A」を意識しよう
バレットが意識していたのは3つの「A」から始まるキーワードです。
①注意(Attention=アテンション)
1つ目は、「注意を逸らす」ことです。
「言うことなんて聞くものか!」となっている相手は、こちらの動きを予測しながら構えています。
そのため、想定外のことをされると、準備・構えが解かれてしまいます。
ものすごくイライラしている時に、相手の想定外の行動に「そうきたか!」となって、思わず笑ってしまったことってありませんか?
注意を逸らすということには、そんな効果があります。
「まずはガードを外してもらう」という感じです。
ということは、いきなり本題に入るということは、ガードを固めている相手に突っ込むことになるので、その前に場をほぐすワンクッションを挟んだ方が望ましいということですね☆
ビジネスの場では「そんな話はいいから」と急かされたりもしそうですが、それでも会議室に入るまでや、最初の挨拶とか、奇抜な名刺とか、注意を逸らす一工夫があると良いでしょう♪
②接近(Approach=アプローチ)
2つ目は、「色々なことに思いを巡らせざるを得ない接近」です。
これも、ガードを外すための考え方です。
分かりきった状態については、相手は構えやすい・ガードを作りやすいです。
しかし、迷いが生じると、そこは付け入る隙になります。
先入観や偏見を逆手に取ったような意表を突いた近づき方ができると、相手は「◯◯なのか?△△かも?」と迷いだします。
そして、迷った結果、自分を安定させるために、自分にとって都合の良い考え方をすることで落とし所を探します。
例えば、高そうなスーツの人がめちゃくちゃ下手に出てきたとします。
下手に出られた相手は、「何この状況!?」と戸惑い、自分を落ち着けるために「あんな高そうなスーツの人が下手に出るなんて、きっと私はこの人にとって特別な存在なんだろう!」と思おうとしたりします。
ね?高いスーツの人がどう思っているのかはわかりませんが、相手に「特別な人だと思われている」と思わせることができました☆
もう結婚詐欺までリーチです(苦笑)。
現実場面でも、例えば商談に上司を連れていくことで、「上席まで出てきて、きっと我が社は大切に思われているんだろう」と相手に思わせることができるかも知れませんね。
「人は迷いが生じる場面では自分に都合がいいような考え方をしやすい」ということがポイントです。
そして、そんな考え方をさせるために、不確定な要素の多い意表をついたアプローチを行うということです☆
③仲間意識(Affiliation=アフィリエイション)
3つ目は、「仲間意識を思い起こさせる」ことです。
人間は社会的な動物ですし、基本的な欲求の中に「所属欲求」があると言われているぐらいなので、「仲間意識」を思い起こさせることで導きたい方向に導きやすくなります。
◯◯しないと(すると)仲間に不利益がある
◯◯しない(している)あなたは仲間からどう見られるか
◯◯しないと(すると)所属できなくなる
仲間はみんな◯◯している(していない)
このようなことを言われたら、それに流されてしまう人もたくさんいそうですね。
3つのポイントを要所で使ってみよう!
いかがでしたか?
今回ご紹介したのは、ざっくりまとめると、意表をついてガードを外してもらって近づき、判断つかないうちに、仲間意識も煽って「YES」と言わせるという方法です☆
紹介してくれたバレットがやっている詐欺に置き換えると、偶然を装って近づき、お金持ちそうにして丁寧に対応したり、貧乏そうにして健気に頑張ったりして、懐に入り込み、「周りの子たちもみんなそうしてるよ」なんてそそのかす‥といった感じでしょうか。
つまりこの方法は、しっかり吟味させないままなんとなく「YES」と言ってもらうという方法です。
そのため、とても重要な話し合いの際にこのテクニックをフルコースで使うと、その時は良くてもあとから断られたりということもあるかもしれません。
とはいえ、3つのポイントはどれもとても理にかなっていて効果があります!
3つ合わせると勢いで説得させるようになってしまいますが、例えば初対面でガードを外したいからアテンションのテクニックを使う、同じ学校の子と付き合いたいから日々の中でアプローチのテクニックを使う、商談の最後の一押しで「この業界でこのシステムを導入されていないのは御社だけです」と仲間意識を煽るなど、要所要所で用いることで様々な交渉をスムーズにすることができるでしょう♪
この記事は、『瞬間説得~その気にさせる究極の方法~』(ケヴィン・ダットン、2011)から学んだことの記録です。