子育て・育児や対人関係に役立つ心理学のテクニック

「子育て・育児や対人関係に使える!」と感じた心理学のテクニックをご紹介します♪

発達障害について⑩:発達障害と『短期報酬』・『長期報酬』

前回の記事では、『刺激へのつられやすさ』という目の前の刺激に飛びついてしまう傾向について説明しました。

 今回も、目の前の刺激に飛びついてしまう傾向についてを、別の視点から見ていきたいと思います。

 

それは、『短期報酬』と『長期報酬』という見方です。

『短期報酬』と『長期報酬』

 

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『短期報酬』とは、「近くにある本人にとっての良いこと」のことです。

 

・・・ということは、『長期報酬』とは、「遠くにある本人にとっての良いこと」のことです。

 

社会の中には、「小さな短期報酬を我慢して、大きな長期報酬を手に入れる」=「目先の小さな良いことを我慢して、遠くにある大きな良いことを手に入れる」ということが結構あります。

 

ダイエットや受験勉強がわかりやすい例ではないでしょうか。

ダイエットは、目の前の食べ物を食べるというその時の幸せを我慢して、スリムな体型という大きな良いことを手に入れるために行います。

受験勉強は、目の前の楽しい時間を我慢して勉強して、志望校合格という大きな良いことを手に入れるために行います。

どちらも、「目先の小さな良いことを我慢して、遠くにある大きな良いことを手に入れる」ということになっていると思います。

 

そして、『短期報酬』と『長期報酬』の捉え方・対応の仕方は、人によってそれぞれ違います。

 

ダイエットを例にすると・・・

①短期報酬を優先してしまって、ついついたくさん食べてしまう人

②なるべく長期報酬を優先にして、カロリーを気にしながら食事を管理する人

③長期報酬を優先して、絶食のような状態で過ごす人

といったグループ分けができると思います。

 

このグループ分けは、わかりやすさ重視で極端ですが、短期報酬を優先させすぎてしまうと、長期的に見たときに良い方向に行っているかと考えると、そうならないことも多くなってしまうと思います。

反対に、長期報酬を優先させすぎてしまうと、その先には良い状態が待っているのかもしれませんが、現状が苦行のようになってしまい、ドロップアウトなどもしやすくなってしまうのではないでしょうか。

 

勉強しないで遊んでいたら、試験には受かりません。

でも、1日毎日10時間以上勉強なんてしていたら、試験日まで持ちそうもありません。

やはり、息抜きもしながら勉強に励む=長期的な視点も持ちながら、現状も負荷がかかり過ぎない様にバランスをとってやっていくということが大切になると思います。

 

発達障害のお子さんたちは『短期報酬』優先

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・・・と、ここまでお話しさせていただくと、このブログの本筋のところとリンクしてくると思いますが、発達障害を中心とした関わる際に配慮が必要なお子さんたちは、短期報酬を優先する傾向が強いお子さんが多いです。

(発達障害のあるなしに関わらず、短期報酬を優先する傾向が強い方はいますし、短期報酬を優先しがちな場面はありますが・・・。)

 

これにはきっと、イマジネーションする力や刺激へのつられやすさの影響もあるのだと思いますが、長期的な展望を持つ・意識するということが苦手なため、目先の利益に捉われてしまいやすいと思います。

 

すると、こんな行動につながってしまいます。

 

例①スーパーに行くたびにお年玉を遣ってガチャガチャをやったりカードを買ったりしたため、高価なゲーム機を買えなくなってしまった。

これは、ガチャガチャやカードという短期報酬を優先させた結果、ゲーム機という長期報酬が手に入らなくなってしまったということですが、子ども目線で見ると、「小さな良いことに手を出してしまった結果、大きな良いことが手に入らなくなった」というより、もう「小さな+(プラス)に飛びついたら、大きなー(マイナス)が待っていた」という表現の方が適切だと思います。

そう考えると、ダイエットの例も受験勉強の例も、「食べてたら太った」「遊んでたら試験に落ちた」ということなので、「小さな+に飛びついたら、大きなーが待っていた」と言えそうですね。

 

そして次の例が、ありがちで大人を困らせる最たるものです。

 

例②怒られるのを避けるために嘘をついて、余計に怒られる。

これは、怒られるのを避けるという「ーがなくなるという+」を手に入れようとした結果、より大きなーをもらってしまうという例です。

 

このように、発達障害のお子さんたちは、「小さな+に飛びついたら、大きなーが待ってた」というか、「その後にある大きなーのことを考えずに、目の前の+に飛びついてしまう」ということが多いと思います。

 

短期報酬優先への対応方法

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では、この「目の前の小さな+に飛びついてしまう傾向」にどう対応したら良いのかということなのですが、お子さんが自分のこの特性を自覚して気をつけていくということは難しいと思うので、やはり周りからの働きかけによるところが大きいと思います。

 

ここでも、カメラを補う働きかけが有効です。

 その先に待っている大きなー(マイナス)というその子に見えていないものの存在を知らせてあげることで、ブレーキを掛けてもらえることがあると思います。

 

もっと理想を言ってしまうと、短期報酬優先のお子さんたちは、気持ちが高まってしまった後でその気持ちを鎮めることは苦手な場合が多いので、気持ちが高まる前にカメラを補う働きかけができたら効果は上がると思います。

 

前述のガチャガチャの例なら、「ガチャガチャを見たらきっとやりたくなってしまうと思うけど、ゲーム機を買うためにお金を貯めたいなら我慢したほうがいいと思うよ。」などとスーパーに入る前=ガチャガチャをやりたい気持ちが高まる前に伝えておくという感じです。

 

・・・といっても、短期報酬優先の傾向が強いお子さんは、イマジネーションすることの苦手さもあると思うので、「それでもガチャガチャをやるんだ!」となってしまうようなことも多いと思います。

そのようなときでも、「大きなーの存在を伝える→その子の失敗に付き合う→失敗についての振り返り」という過程を経る中で、考え方や行動の変化が起きていくのではないでしょうか。

「〇〇になっちゃったね。次からは・・・」というように。

「目の前の+に飛びついてしまう」ということは、本人もしたくてしているわけではないので、修正することはなかなか難しいと思います。

上記のようなその子に寄り添った丁寧な対応と、その1つ前に、丁寧な対応を可能にさせるその子との良好な関係性が必要になると思います。

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