子育て・育児や対人関係に役立つ心理学のテクニック

「子育て・育児や対人関係に使える!」と感じた心理学のテクニックをご紹介します♪

発達障害について⑯:指示を出す際のポイント

今回は、タイトルの通り、お子さんに『指示』を出すときのポイントについてです。

 

前回、前々回と、

そもそも『指示』という形にならないための下準備と、

『指示』をだす場合の内容とその後の対応

についてご説明させていただきました。

 

今回は、「指示の出し方」という部分についてのお話です。



これから説明するお子さんと関わる際のポイントは、これまで焦点を当ててきた発達障害を中心とした関わる際に配慮が必要なお子さんに対してだけでなく、定型発達のお子さんも含めた全てのお子さんに対して有効なポイントであると思います。

もっと言ってしまうと、会社の部下や後輩など、支援する側とされる側、指導する側とされる側などに分かれる関係において、全ての支援する・指導する側の人にとって有効なポイントだと思います。

 

ただ、発達障害等のお子さんたちは、その特性に特徴的な部分が多いため、これから説明させていただくようなポイントを抑えた関わりをした時の効果は顕著だし、反対にいうとポイントを抑えない関わりをした際の難しさも顕著であると思います。

そもそも『指示』とは?

辞書を引くと、『指示』は

相手がしなければならないことを具体的に言って聞かせること(新明解国語辞典第7版)

 だそうです。

その通りですよね!

特に「具体的に」が定義に入っていることは良いですね♪

ぼんやりした不明確な指示は指示とは言えないということです。

 

しかし、「上から下に」というか、トップダウン的な要素が強すぎるかなとも感じます。

子育てということ考えると、反発を招きやすそうというか。

 

そこで、『指示』をこのように定義したらどうでしょうか?

『指示』とは、『子どもの協力を増やすための働きかけ』。

この定義を採用すると、「大人からの働きかけによって子どもが何らかの大人に協力した行動をする」という、「子ども側の協力」までを含めて『指示』ということになります。

情報の出し手だけでなく、受け手の反応までを含めるということですね。

 

この定義に則ると、「子どもの協力が増えない働きかけ方は指示の機能を果たしていない」ということになります。

 

そのため、お子さんに指示を出す際のポイントというのは、お子さんを「協力しよう」という気持ちにさせるためのポイントということになります。

 

合言葉は『CCQ』

友人からの受け売りなので、出典はわからないのですが、お子さんに働きかけるときの合言葉として、『CCQ』というアルファベット3文字があるそうです。

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それぞれは、

C=Calm:穏やかな気持ちで

C=Close:近づいて

Q=Quiet:静かな声で

です。

 

並べられると、3文字とも当然のことなのですが、これを維持することはなかなか難しいと思います。

反対に、忙しかったりイライラしていたりで、何かをしながら遠くから大声でお子さんに声を掛けることになることもあると思います。

食器を洗いながら「早くお風呂に入りなさいって言ってるでしょ!」とか。

 

でも逆の立場になって考えてみると、CCQと正反対の「イライラした親に遠くから怒鳴られる」では、やろうと思っていたこともやりたくなくなりますよね。

「子どもの協力を増やす」という点では、CCQは必ず意識すべきことであると思います。

 

お子さんが協力したくなるような指示の出し方とは?

ここで説明させていただくことは、これまで説明させていただいたことのおさらいのような内容です。

 

肯定的な指示

「~するな」ではなく、「~しよう」という伝え方をすることでお子さんの自発的な行動を促します。

見通しを持たせる指示

お子さんにとって、未来を予想できるということは安心感につながります。

例えば遊んでいる時に急に「片づけにしましょう。」と提案されるのと、「あと○回やったらお片付けにしましょう。」ではお子さんが受ける印象は全く違います。

 

見通しを持つことが出来ることで、気持ちの準備が出来てスムーズに次の作業などに移行できます。

 

主導権がお子さんにあるような指示

お子さんが「やっている」と感じるのと「やらされている」と感じるのでは、モチベーションは大違いです。

お子さんが主導権を持つ形になるための具体的な働きかけ方は、以下の2つの方法です。

質問系

指示を出す段階で指示を出す側に主導権があると捉えがちですが、指示を質問の形にすることで主導権を出された側に譲ることが出来ます

例えば「~してくれない?」というお願いの仕方です。質問の形にすることで「しなさい。」と指示を出された時よりも自発的にやっている感覚になり、お子さんの協力を得られやすい場合もあります。

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さらに、「~してくれたら嬉しいわ。」と気持ちをプラスさせることがその応用編になります。

 

なお、「しましょう。」と「~してくれない?」は使い分けが大切であると思われます。

「~してくれない?」は良くも悪くも下手に出るようなニュアンスなので、状況やお子さんとの関係性によってはそぐわないこともあると思います。

選択系

ただ指示を出すのではなく、選択肢を提示する形にすることで、主導権を指示を出された側に譲ることもできます

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選択系は「〇〇と△△でどっちがいい?」といった提示の仕方です。

 

選択肢があると、どちらかを選ばなければならないと思うのか、「やらない!」とはならずにどちらかを選んでくれることが多いように感じます。

 

例えば、ただ「おもちゃを片づけなさい。」と指示を出しても「嫌だ。」となるのに、「お片づけをしますよ。まずは人形とブロック、どちらを片づける?」と提示するととりあえずどちらかは片づけてくれたりすることが多いのではないでしょうか。

この場合は、とりあえずどちらかを片づけてお子さんを乗せることで、その後に「ついでにこっちも片づけちゃおっか。」とすればお片づけ全体が完成になります。

まとめ

『指示』の定義を『子どもの協力を増やすための働きかけ』とすると、『指示』は上から下に投げつけるものではなく、指示を出す側の工夫も含めて『指示』ということになると思います。

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CCQをベースとしてここで挙げたテクニックを利用すれば、やりやすさは大きく変わってくると思います。

 

少しの手間や工夫で大違いということは、子育てに限った話ではないと思います。
まずは、「頭では分かっていても実践することはかなり難しい」CCQを意識する所からですね!

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