宿題、片付け、歯磨き、お風呂‥
子どもにやって欲しいことなんて、山ほどありますよね。
「やりなさい!」
「嫌だ!」
このやり取りを1日に何回していますか?
何か子どもにやるべきことがある時に、ただ指示を出すよりはやってくれる確率が上がるテクニックがあります。
キーワードは、「選択肢」です☆
著者のケヴィン・ダットンはロンドン生まれの心理学者で、「社会的影響」研究の第一人者です。
本の中では社会的な影響力を利用して相手に思わず「Yes」と言わせてしまうテクニックが数多く紹介されています。
詐欺師も使えるようなテクニックですが、お子さんや部下を望ましい方向に(エゴではなく)導いてあげたいときなどにも有用なヒントが豊富に含まれています☆
選択肢があると、どちらかを選んでしまう
「瞬間説得」にこんなエピソードが紹介されています。
歩道に2人の物乞いがいるのですが、1人はボロを着て「空腹のホームレス、助けてください!」と書かれたボードを持っています。
もう1人は綺麗なスーツを着て「大金持ちです、もっと欲しい!」と書かれたボードを持っています。
どんな状況なんでしょうか?
実はこの2人はグルで、一日分の得たお金を2人で分け合っています。
なぜそのようなことをしているのかというと、ボロ1人で物乞いをしていた時と比べて、金持ち風の男と一緒にいた方が稼ぎが4倍になったからです。
人は、選択肢があるとどちらかを選ぼうとしてしまいます。
そのため、ボロ1人の物乞いには何も感じなかった人たちも、横に金持ち風の男がいることで、「コイツにあげるぐらいならこの人にあげるよ」と選択してしまっていたのです。
どっちにもあげないという選択肢が本当はあるのですが、どうしてもどちらかを選んでしまうのです。
どちらを選ばれてもOKな選択肢を作ろう
この「選択肢があるとどちらかを選ぼうとしてしまう」ということは、お子さんにやるべきことをやってもらう時にも非常に有効です。
その方法は、「どちらを選ばれてもOKな質問を作る」ということです。
例えば、夜までには宿題を済ませて欲しいとき、「宿題をするのはおやつの前?それとも後?」と選択肢をつけた質問をすることができるでしょう。
ただ「宿題をやりなさい!」と指示を出しても「え〜」と渋られそうですが、
「宿題をするのはおやつの前?それとも後?」と選択肢を出して尋ねられたら、「じゃあ、おやつの後。」と応じてくれる確率は上がりそうですよね。
「指示・命令を選択肢付きの質問に変える」ということなので、「指示・命令を質問に変える」の進化版といえるでしょう。
また、「今日のピアノの練習は、1時間にする?30分にする?」「今日のドリルは10ページ?5ページ?」のように、アンカリング効果も込みの質問も作ることができそうです。
このような質問にすれば、「30分」や「5ページ」を選んでくれるかもしれませんし、少なくとも「15分」や「3ページ」ぐらいならやってくれるかもしれませんね♪
この質問の方法は、初めは難しく感じるかもしれません。
しかし、これはセンスのお話ではなく、テクニックなので、意識していけば慣れていくことは出来ます。
「指示・命令を選択肢付きの質問に変える」という努力を始めることで、子どもに無理やりやらせる労力を省略しましょう☆