習い事やイベント参加など、大人が「やってみたら楽しいだろうになぁ」と思っていてもお子さんが怖がってしまう・嫌がってしまうことってありますよね?
(大人のエゴでないことを吟味した上ですが)
そんな時に、お子さんに「やってみよう」と思ってもらう確率を上げるテクニックがあります。
キーワードは、『社会的証明の原理』です。
この記事は、『心を上手に操作する方法』(トルステン・ハーフェナー、2012)から学んだことの記録です。 『心を上手に透視する方法』の続編です。タイトルは刺激的ですが、相手を操作するためにはその人との良好な関係作りが非常に重要なため、子育てや人間関係の中で有用なコミュニケーションのための方法についてのヒントも数多く含まれています♪
『社会的証明の原理』とは
『社会的証明の原理』とは、
「自分の判断よりも、周囲の判断(=社会的な判断)を頼りにしてしまうという心理原則」
のことです。
平たく言うと、「みんながそうしているんだから、きっと正しいんだろう」と考えてしまう傾向ということです。
ビジネスの場では、様々な場面で利用されていますよね。
「あの有名モデルも愛用」のダイエットサプリや、
「お客様満足度第1位」の自動車保険など、
「みんなもそうしてるんですよ〜♪」と社会的に評価されているとアピールすることで、「じゃあ私もそうしようかしら」と思ってもらう作戦ですね。
そして、この社会的証明の原理は、そんなに買うつもりもなかった人を買わせてしまうテクニックなので、新しいことなどに二の足を踏んでいるお子さんに対しても当然有効です。
「自分と似た子」が「たくさん」やっていると思わせよう
影響力についての研究の第一人者ロバート・チャルディーニは、犬を怖がっている幼児を集めて社会的証明の原理の効果を調査しました。
この研究によると、男の子が犬と仲良く遊んでいる20分の動画を見せられた幼児のうち、67%の子たちの犬への恐怖心が和らぎました。
さらに、複数の子供達が複数の犬と遊んでいる動画を見せた場合には、さらに犬への恐怖心は和らぎました。
また心理学者のロバート・オコナーは、引っ込み思案の幼児達を対象に社会的証明の原理についての実験をしました。
この実験では、引っ込み思案な子がグループに入って他の子たちと遊ぶようになる場面が何度も出てくる映画が作られました。
この映画を見せられた子ども達の多くは同世代のグループに入ることができるようになり、その効果は6週間後の追跡調査の時にも続いていました。
この2つの実験から、社会的証明の原理は、「自分と似ている対象がそうしている」「多くの対象がそうしている」ときに最も効果があると言えます。
このことを考えると、例えば習い事のような新しい集団への参加に二の足を踏んでいるお子さんに対しては、見学や体験はやはり有効です。
お子さんがその場に行くことも拒否した場合には、許可を取って映像を撮らせてもらい、それを見せるということも良いでしょう。
見学や映像を見て、「同い年ぐらいの子たちがたくさんやってるな」と思えたら、拒否感は和らぐでしょう。
対象によっては、発表会のようなものを見に行くことも良いでしょう。
「同い年ぐらいの子たちがこんな事ができるんだ」と思えたら、「僕も(私も)出来るようになりたい!」と思うかもしれませんね。
また、特定の物理的・心理的に近い対象がやっているということも有効でしょう。
「友達の◯◯くんが」や「◯◯さん(お子さんが好きな有名人)も子どもの頃にやっていたんだよ」といった方法ですね。
『社会的証明の原理』を安心の材料に♪
社会的証明の原理は、「みんながそうしているんだから、きっと正しいんだろう」と考えてしまう傾向です。
お子さんが新しいことや過去に嫌な思い出があることに二の足を踏んでいるとしたら、そこには不安、恐怖、分からなさなどあるのだと思います。
社会的証明の原理は、「みんなやっているから」ということで、そんなお子さんに安心材料を提供してくれるものにもなるでしょう。
社会的証明の原理は、「◯◯ちゃんも持ってるから」や「YouTuberがやっていたから」など、お子さんの「買ってほしい」や「連れて行ってほしい」も刺激してしまう、親にとっては厄介な原理でもありますが、お子さんの不安を和らげ、安心を提供する一面も持っていることも覚えておいていただければと思います♪
この記事は、『心を上手に操作する方法』(トルステン・ハーフェナー、2012)から学んだことの記録です。