プレゼンや交渉、家族への報告の時などもそうですが、悪いことを報告せざるを得ない時や、良いことをもっとアピールしたい時、どんな順番で話しをすることが正解だと思いますか?
テクニック的な話しを聞いても、「先だ」という説や「後だ」という説があって、「どっちやねん!」となっていませんか?
相手に良い印象を与えるため/悪い印象を和らげるための情報を出す順番には、「情報の状況」に応じたルールがあります♪
この記事は、『最高の結果を得る戦略的交渉の全技術(石井通明、2019)』から学んだことの記録です。 著者の石井通明氏は、コールセンターでのアルバイトからそのまま就職し、取締役まで上り詰め経歴の持ち主です。 本書は、著者が自身の経歴の中で学び、磨いてきたハーバード流交渉術、行動心理学がベースとなった、交渉の際に有用な理論・スキル・テクニックが幅広く紹介されています。 全ての項目が3~4ページにまとめられており、とても読みやすい本です。 「戦略的」となっているので、専門的な難しいスキルのように感じますが、むしろ基本的で、様々な場面で利用可能な情報の宝庫だと思います☆
関連のない「良いこと」と「悪いこと」を伝える時には、「良いこと」から!
関連性がなく、1つ1つ報告をしていくような場面では、「良いこと」から報告しましょう。
これは、『一貫性の法則』で説明できます。
『一貫性の法則』とは、「自分の態度・発言・行動などに一貫性を持たせたいという心理的な傾向」のことです。
つまり人間は、一回決めたこと(態度・発言・行動)を変えようとしない傾向があるということです。
この『一貫性の法則』を利用すれば、先に良いことを伝えて、「機嫌のいい」「朗らか」「優しい」という態度になってもらえば、その後で悪いお知らせを伝えられても態度が変わりにくいということになります。
「その後のことを考えると、いい話で終わった方がいいかな?」と思うかもしれません。
しかし、一貫性の法則からすれば、悪い話で一旦ネガティブな態度になてしまうと、せっかくの良い話による良い影響が薄くなってしまいます。
なので、関連性がなく、1つ1つ報告をしていくような場面では、「良いこと」から伝えましょう♪
1つの対象についての「良いこと」と「悪いこと」は、最後に「良いこと」を!
1つの対象や物事について、「良いこと」と「悪いこと」の両方を「〇〇だけど、△△」のように報告しなければならない時は、「良いこと」を最後に報告しましょう。
これは、『親近効果』で説明できます。
なお、参照している『最高の結果を得る戦略的交渉の全技術』では『親近感効果』と呼んでいます。
また、『親近性効果』となる場合もあります。
『親近効果』は、「最後に与えられた情報で印象が決定されやすい」という効果です。
A:〇〇君は、いい奴だけど、ケチなんだ。
B:〇〇君は、ケチだけど、いい奴なんだ。
この2つの場合、Bの方が好印象になりますよね。
『親近効果』によって、後ろの情報の影響が強くなったということですね。
このように、「〇〇だけど、△△」や、「〇〇ですが、△△」といった報告をするような場面では、後ろ・最後に良い情報を持ってきましょう☆
情報量が多い場合は、「良いこと」を前に!
情報量が多い場合には、「良いこと」から報告しましょう。
これは、『初頭効果』で説明できます。
『初頭効果』は、「最初に与えられた情報が、後の情報に影響を及ぼすこと」です。
A:おしゃれ・真面目・頑固・批判的・嫉妬深い
B:嫉妬深い・批判的・頑固・真面目・おしゃれ
この2つの場合、Aの方が好印象になりますよね。
『初頭効果』によって、前の方の情報の印象が残ったということですね。
情報量が多くなると、後の方の情報はもう処理しきれなくなって、前の方の情報の印象が残るということです。
そのため、情報量が多い場合は、「良いこと」から報告していきましょう♪
まとめ
「良いこと」と「悪いこと」、どちらから報告すべきかは、状況に応じて分ける必要があります。
関連のないことを1つ1つ報告していく場合と、情報量が多い時には、「良いこと」から報告しましょう!
対象が1つで、情報が少ない時には、「悪いこと」から報告しましょう!
しかしこれは、人間の特性に基づいた、あくまでも「確率が上がる」というお話です。
その人との関係性や、「悪いお知らせ」の内容によっては効果を発揮しにくいこともあるでしょう。
この記事は、『最高の結果を得る戦略的交渉の全技術(石井通明、2019)』から学んだことの記録です。